バクテリアdeキエーロの誕生と広がり
この方が考案者の松本さん。
このキエーロは最初に作ったもので、
今もずっと使っています。
夫婦で作るバクテリアdeキエーロ
「自分の家から出た生ごみを燃やすせいで、葉山町の焼却場の近所に住む方に煙で迷惑をかけたくないと思って」
と語るのは、奥さまの松本恵里子さん。葉山町のごみ焼却場は町の中にあり、恵里子さんはそこから上る煙をよく目にしていました。自宅で生ごみを減らすことができたら、焼却場の煙を少し減らせるかもしれないと思ったことが、生ごみ自宅処理の始まりだったそうです。
キエーロの仕組みを考えたのは、おもにご主人の松本信夫さん。いろいろな生ごみ処理の機械を試し、土壌について勉強し、ようやくたどり着いたバクテリアdeキエーロは、「土の中に生ごみを入れると分解されてなくなる」という当たり前の、しかし今は忘れられがちな仕組みでした。
第一候補は「土の子ハウス」
インパクト大の名前「バクテリアdeキエーロ」。しかし実は、最初のネーミング候補は「土の子ハウス」だったそうです。残念ながら「土の子」という名前は別のところで既に使われていたとのこと。そこで急きょ名前を変えることになったのですが、新しい名前が誕生した場は、葉山町のごみ減量運動「ゼロウェイスト」に取り組む町民の皆さんとのお喋りの席。まず「キエーロ」という名前から付き、「それに『バクテリアで』をつけよう」「『で』を『de』でつづろう」とアイディアが出て、「おもしろいからこれでやろう」と、現在の名前に決まりました。
ローカルブログから広がるキエーロの輪
キエーロが人に知られるようになった最初のきっかけは、 2008年ごろに松本さんが葉山のローカルブログ「葉山オンライン」に、何の気なしに「うちの生ごみ処理方法」としてキエーロについての記事を載せたこと。「このときは広めようという気は全然なかったんですよ」と松本さん。 しかしその後、写真をアップして欲しい、実物を見たいという要望が届き、見に来たその日にキエーロを作ってみたという人も現れました。見学希望者の中には、葉山町や町田市のゼロウェイストグループのトップの方も。さらには環境フェスタに展示のお願いや、逗子市長からお宅にセットしてほしいとのお願いまで。市長の行動の早さからか、広まったのは葉山町よりも逗子市のほうが早かったようです。 「逗子市長さん、家では生ごみの係だから、お宅に付けて欲しいって言ったのかも。でも、どこの市町村も焼却施設のこととか考えると、生ごみがなくなればお金も苦情も抑えられるっていうのはあるんですよね」 恵里子さんはそう補足します。